魚の排泄物を最大限活用するミネラリゼーション

アクアポニックスで植物が育つ仕組みの説明に「アンモニアを硝酸に変換する」という記載しかないのをよく見かけます。硝酸はあくまでも植物に必要な栄養素の一つです。それだけで植物が育つわけではありません。今回は植物に必要な栄養素を魚の排泄物から最大限に取り出すためのミネラリゼーションについて解説します。

目次

魚の排泄物を最大限活用するミネラリゼーション

植物の成長に必要な栄養素

植物が育つためには17の栄養素が必要となります。そのうち植物の要求量が大きい栄養素を多量必須栄養素といい、要求量が小さい栄養素を微量必須栄養素といいます。この必須栄養素は十分に供給されなければ、成長は遅くなり、植物の活力は減少してしまいます。逆に過剰になっても植物の成長に障害が現れるため、適切な量、適切な時期の栄養の供給が大切です。

多量必須栄養素

多量必須栄養素には酸素、水素、炭素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄の9つの元素が含まれています。このうち酸素、水素、炭素は光合成をする際に空気中の二酸化炭素や根が吸収する水から得られるため、通常肥料として与える必要はありません。次に窒素はアクアポニックスの場合は、硝化作用の記事でも説明しているように魚から排泄されるアンモニアによって得ることができます。詳しくは硝化作用の記事をご覧ください。

アクアポニックス大学
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微量必須栄養素

続いて微量必須栄養素です。
微量必須栄養素は鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブデン、塩素、ニッケルの8元素から構成されます。微量元素は必要量は少ないものの、植物の生育には不可欠な成分です。量が多くても少なくても生育障害が起こります。

ミネラリゼーションとは

魚は食べたエサの30~40%を成長に利用しており、残りの60~70%は吸収されず体外に排泄されてしまいます。この排泄物のうち約5割はアンモニアとして排泄されます。アンモニアはそのままでは魚にとって毒性が強く、植物もあまり吸収できない物質です。そこで硝化作用を利用し、アンモニアを硝酸へと変え、植物に吸収させるのがアクアポニックスです。
しかしながら、植物は硝酸だけでは成長に必要な栄養素の窒素しか賄えません。

そこでアンモニア以外の排泄物に含まれた、ミネラルなどの栄養素を微生物によって水中に溶出させることが、ミネラリゼーションです。ミネラリゼーションがうまく機能して初めてアクアポニックスで野菜の栽培ができるようになります。

ミネラリゼーションも微生物のはたらき

ミネラリゼーションでは従属栄養微生物と呼ばれる有機物を餌にする微生物が排泄物を分解し、野菜の栄養素を水中へと溶出します。従属栄養細菌は、固形の魚の排泄物、食べられていない魚の餌、枯れた葉っぱ、別の死んだ微生物など、様々な有機物質を食べます。アクアポニックユニットでこれらのバクテリアに利用できる多くの食料源があるといえるでしょう。

栄養が不足すると植物に異常が出る

植物は栄養分を固形のままでは吸収できないため、このミネラリゼーションはアクアポニックスにおいて不可欠です。
ミネラリゼーションがうまくできていないと栄養素が不足し、この写真ように野菜の生育に異常が出てしまいます。
栄養素が不足すれば、追肥が必要になり、生産コストが増えてしまうことになります。
アクアポニックスではミネラリゼーションが効率的に行われるような環境作りが大切です。

ミネラリゼーションの方法

メディアベッドの場合

メディアベッドの栽培方法では従属栄養細菌がメディア(培地)のなかで増え、ミネラリゼーションが行われます。
従属栄養細菌は常に湿っていて魚の固形廃棄物が溜まる場所で自然に増殖していきます。そのためメディアベッドではミネラリゼーションについてあまり考える必要はありません。メディアベッドの栽培方法がシンプルな構造でうまくいくのも硝化作用とミネラリゼーションが同時に行われるからといえます。

DWCやNFTの場合

メディアを使用しないDWCやNFTのアクアポニックスではミネラリゼーションを行うためのミネラリゼーションタンクの設置が一般的です。ミネラリゼーションタンクは魚の排泄物を貯めたタンクにエアレーションをすることで簡単に構築ができます。

ミネラリゼーションタンクは物理フィルターで水と分離された固形排泄物を写し、微生物によって分解させます。
微生物によって栄養が溶出した水を再度、循環している水に戻すことでアクアポニックスに植物の栄養が追加されます。

まとめ

ミネラリゼーションは硝化作用と並んでアクアポニックスが機能するために必要な微生物のはたらきです。設備を構成する際には硝化作用だけでなくミネラリゼーションのための生物ろ過の検討は、より効率的に魚の排泄物を活用できるでしょう。DIYのシステムでミネラリゼーションまで考慮が難しい場合には、物理フィルターに長く魚の排泄物を貯めておくことも一つの手段です。ただし、配管の詰まりや栽培槽へ排泄物が流れてしまうこともあるので、様子を見ながら管理をするようにしましょう。

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